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院長コラム 四十肩・五十肩

四十肩・五十肩
はじめまして! 院長の捧陽介と申します。
これから随時ホームページに院長コラムを掲載できればと考えています。
最初は私の専門であった肩関節によくある疾患について書こうと思います。


みなさんは、特に肩を痛めた覚えがないのに
・肩が痛くて夜眠れない
・肩を動かすたびに強い痛みが走る
・関節が硬く、腕が上がりきらない

このような症状を経験したことはありませんか?
世間ではこれらの症状を四十肩(五十肩)呼んでいますが、我々、整形外科では「肩関節周囲炎」と呼んでいます。
これは肩を構成する筋肉や靭帯などに、長年の使用や加齢を由来とする小さな損傷が蓄積し、炎症がおこることによって生じるといわれています。
40代、50代になると発症しやすいため、好発年齢を冠につけ四十肩、五十肩などと呼ばれています。

肩関節周囲炎は3つの病期に分かれており、
①炎症期
②拘縮期
③回復期
と順に経過するといわれています。

①の炎症期では、肩を構成する組織に炎症が起き、動かした時の強い痛みや、夜間の痛みなどが生じます。
②の拘縮期では①のような強い痛みは改善するのですが、炎症がおきたために、組織同士が癒着し、肩関節の拘縮(関節が硬くなって動しきれないこと)が起きます。
③の回復期では②で起きた拘縮が少しずつ回復し、痛くなる前の状態の肩にゆっくりゆっくり近づいていきます。
個人差はありますが、各々の期が数ヶ月単位かかるので、全体として一年以上かかることもあると言われています。
また完全に治りきらないことも多く、痛みが残ったり関節の硬さが残ったりすることもあります。

ではこの肩関節周囲炎の治療についてですが、どのようにするのがよいのでしょうか?
「痛くても硬くならないようにどんどん動かす」
「良い治療法がないから、時間が解決してくれるのを待つ」

このような治療法を耳にしたことがあるのではないでしょうか?

実はこのような治療は症状を長引かせるだけではなく、悪化させる原因になりうるといわれています。
「痛くても硬くならないようにどんどん動かす」ことは、炎症が起こっている肩関節にさらに炎症を起こし、痛みが悪化するだけでなく、炎症による組織の癒着が進み、結果として肩が硬くなりことにつながり得ます。
「良い治療法がないから、時間が解決してくれるのを待つ」ことは、炎症がおこっている期間を長引かせることなるので、痛みの遷延や炎症の遷延により、これも痛みや関節の硬さの悪化につながり得ます。

私の考える肩関節周囲炎の治療のポイントは
・いかに炎症を起こさせないか、長引かせないか
・病期にあった運動療法

にあると考えています。
これまでに書いたように炎症の悪化、遷延は症状の悪化につながりますので、まずは何よりも炎症を抑え、炎症が引いた後に肩が硬くならないように動かしていくことが大事、と言い換えることもできます。

具体的には、病期の初期には痛みや炎症を抑えるために内服薬や外用薬を使用し、強い炎症がある場合は肩関節内への注射も検討します。この際エコーを用い、より正確な部位への注射を心がけています。
また肩の安静に必要な姿勢の指導や、炎症の度合いを見て病期に適したリハビリテーションを積極的に行い、症状が早く改善するよう、少しでも残らないよう治療していきます。

肩関節周囲炎は病期にあった治療が必要になります。特に炎症期の初期に治療を開始でき、早期に炎症を抑えることができれば、その分回復も早くなります。
四十肩、五十肩でお悩みの患者さんは「良い治療法がないから、時間が解決してくれるのを待つ」のではなく、当院への受診を検討してみてください。


 

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